朝鮮の三十八度線(87)
ソ米共同委員会の破綻(17)
米国務省の『朝鮮統一に関する記録』にも、会談初期両代表団のあいだでは、全朝鮮臨時政府樹立にかんする協商への参加資格がモスクワ協定を支持して共同委員会と協力しその決議を守るという声明に署名した朝鮮のすべての政党、団体に付与されるとの合意がなされた、と記録されている。
信託統治反対闘争委員会という名称自体とその依然とした存在は、それがモスクワ三国外相会議の決議に反対していることを明確に示し、したがってソ米共同委員会と協力する立場にないため、三国外相会議の決議履行に参与できないのは当然なことであった。
それにもかかわらずアメリカは、この組織にとどまり、しかも現実的に組織的な反信託行為を放棄しなくても、「共同声明第五号に署名すればモスクワ決議を全的に支持する意思を示したものとみなす」と強弁した。
トルーマンの特使として当時朝鮮および中国問題を研究したウェデマイヤーでさえ、一九四六年九月十九日、信託統治反対闘争委員会に参加している李承晩一派の行為がたんなる意思表示ではなく「過激な右派のテロ行為」であると大統領に報告している。
アメリカは「自由な意思表示」「民主主義の発揚」を主張しながらも、モスクワ決議を支持する政党、団体の意思表示にたいしては弾圧を加えていた。
それでモロトフはマーシャルへの書簡で、マーシャルは意思表示へのいかなる制限もあってはならないとしているが、最近モスクワ決議を支持する南朝鮮の政党、団体が、米軍当局によってもっとも徹底した束縛ときびしい迫害を受ける異常な耐え難い事態に直面している、と指摘した(同上四九ページ)。