朝鮮の三十八度線(66)

ソ米英三カ国外相会議、同床異夢(2)

アメリカは、まず占領軍の軍政を実施し、それに依拠して後見制を取り入れ、そのあと民族政府の樹立を予見したが、ソ連は、民族政府をまず樹立し後見制でそれを支えようとした。

ソ米両国の朝鮮後見についての考え方には、本質的な違いがあった。アメリカが主張する後見制は、被後見国の立法・行政・司法権を後見国の最高総監が掌握行使する委任統治の一種であった。反面、ソ連の後見案は立法・行政・司法権を被後見国民族政府に任せたあと、その国の独立への移行に協力する形式となっていた。そしてそれは、後見制方案を朝鮮の諸政党、大衆団体と必ず討議して制定し、さらに朝鮮の臨時政府を通じてのみそれを実施するとしていた。以上のようにアメリカは朝鮮を支配し、ソ連は朝鮮を援助しようとした。

会議では論争の末、朝鮮民主主義臨時政府をまず樹立し、朝鮮の独立と再建に協力するという決議が採択された。

一九四五年十二月二十七日に発表されたソ米英のモスクワ三国外相会議で決議された朝鮮部分はつぎのようである。

「三 朝鮮

1 朝鮮を独立国とし、再建させ、民主的諸原則による発展や長期間にわたる日本統治の有害な諸結果を速やかに一掃するための諸条件をつくる目的をもって、朝鮮民主主義臨時政府が樹立される。臨時政府は朝鮮の産業、運輸、農業および朝鮮人民の民族文化の発展のために必要とするすべての対策を講ずる。

2 朝鮮臨時政府の組織を助けるために、そしてそれに適応する諸方策を予め作成するために南朝鮮の米軍代表と北朝鮮のソ連軍の代表をもって共同委員会を構成する。提案作成にあたって委員会は、朝鮮の民主的諸政党や大衆団体と協議しなければならない。委員会が作成した勧告書は、合同委員会によって代表されている両国政府によって最終的に決定される前に、米ソ英中国政府の審議を受けなければならない。

3 共同委員会の他の任務は朝鮮民主主義臨時政府や民主的諸団体を参加させて、朝鮮人民の政治的・経済的・社会的進歩と、民主的自治の発展と朝鮮の国家的独立の確立とを援助協力(後見)する諸方策を作成することである。

共同委員会の提案は、朝鮮臨時政府と協議の後、五か年を期限とする四か国による朝鮮後見協定を作成するために、ソ米英中の諸国政府の審議を受けなければならない。

4 南北朝鮮にかんする緊急な問題を審議するため、また、南朝鮮の米軍司令部と北朝鮮のソ連軍司令部との間の行政、経済部門における恒久的調整を確立する諸方策を作成するために、朝鮮に駐屯するソ米両軍司令部代表による会議が二週間以内に招集される」(同上第一分冊一○ページ)。

モスクワ三国外相会議の決議は、自己の主権を民主的原則に立って自ら決定する朝鮮人民の権利を認めた。そして朝鮮後見を朝鮮人民の政治的・経済的および社会的進歩と、朝鮮の「民主的自治の発展」へ向けた援助の手段として、とくに「国家的独立」と再建への「援助協力」の方途として規定した。とりわけ後見の具体的な方案の作成は、必ず朝鮮の民主的諸政党・大衆団体の参加のもとにおこなうと規定し、外部勢力の一方的な朝鮮介入を排除した。

モスクワ三国外相会議の決議は朝鮮人民の支持を得た。

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