わたしの息子、娘
一九九六年三月某日、
ここは敵とじかに銃口を向け合っているところで、何かしら疑わしい動きがあっても彼我の間に弾丸が飛び交う危険きわまりない地帯であった。
けれども総書記は敵陣が一目で見渡せる監視所に登って兵士たちと記念写真を撮り、彼らに厚い恩情を施した。
随員たちは終始緊張し、胸を締めつけられる思いだった。
その日の夕暮れ、幹部たちは総書記に心から懇願した。
「何とぞ前線地帯だけは二度と行かないでください。これはわたしたちだけの願いではありません」
しばし幹部たちを見つめていた総書記は、あなたがたの気持ちは十分理解できる、それをありがたく思っている、と静かに言った。
そして、最前線の兵士たちを思い描くように遠い南方の空を眺めてこう言うのだった。
「今、最前線ではわたしの数多くの息子、娘たちが祖国の防衛線を守っています。わたしは前線で警戒勤務に当たっている息子、娘たちの勤務生活を確かめ、彼らを励まさなければならず、そのためには前線地帯へ行かなければならないのです」
わたしの息子、娘!
息子、娘たちを訪ねて行く父親の愛を誰が阻むことができようか。