立体的な思索

一九八七年三月のある日、求められた資料を持ってある幹部が金正日総書記の執務室に行った時のことである。

総書記は何か書いている最中だったが、その時電話がかかってきた。

総書記は彼に席を勧め、「ちょっと待って…」と言った。

そして通話が終わると、彼に話しなさいと促した。

幹部は総書記がペンを置くのを待って、国際情勢に関する重要な資料を報告しようと静かに椅子に座っていた。

「かまわないから話しなさい」

総書記はそのままペンを走らせながら促した。

腰を浮かせて立ち上がった幹部は話しはじめた。

総書記はところどころで、それはもう知っている、それはいつの資料なのかと聞いたりした。

そして説明を聴取しながら、分析と評価も同時に行った。

演説文を書いたり情勢を分析したりすることは、いずれも深い思索が必要な高度の精神労働である。

そして一つの頭脳で二つの思索をし、分析、総合、推理、判断をしながら、一方では文章を書き、他方では話をするというのはほとんど不可能なことである。

ところが、総書記がその時に執筆中だった文章が、思想教育を強化することについての重要な著作であることを後日知った幹部はいっそう驚嘆してやまなかった。

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