祖国統一の諸問題と取り組んで夜を明かした金正日総書記は、またほかの要件を処理するため、朝早く乗用車で遠い目的地に向かった。

隣の座席には総書記に呼ばれて来た幹部が座っていた。

滑るように走っていた車が山道にさしかかると、石ころやくぼみのためにひどく揺れた。随行の幹部は申し訳なさそうに、しばしば総書記を見やった。

昼ごろまでそんな道を走りつづけた車が泉の見える山村の道にさしかかったとき、総書記は車を止めた。

目的地まではまだかなりの道程なので、かれは首をかしげて総書記のあとから車を降りた。

「冷たい水を一杯飲んで行きましょう」

総書記が車を止めたわけを知ったかれは、急いであとを追った。

泉には清く澄んだ水がこんこんと湧き出ていた。総書記の疲労を少しでもいやしてくれたらどんなにいいだろうと思いながら、かれはコップに水を汲んでさし出した。

総書記は顔をほころばせた。

「水も結構腹の足しになるものだ」

総書記が時間の都合で朝食をとらずに出発したことを知ったかれは、目頭が熱くなった。

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