ニワトリの特性
一九六七年一月初め、ある養鶏工場を視察中、
「あれを見たまえ。主人たちはもうねぐらに帰っている」
総書記はほほえんで、薄暗い鶏舎のとまり木に赤いとさかを曲げてずらりと並んでいるニワトリの様子を眺めた。
総書記はふと、床の上の給餌箱に視線を向けた。
「ニワトリはなぜ餌を食べ残したのです」
養鶏工場の幹部は、当然のことのように答えた。
「日が暮れると、ニワトリは餌を食べずにとまり木にあがります」
なにか考えていた総書記は、それならなぜ鶏舎に明かりをつけないのかとたずねた。そして日が暮れるとニワトリはとまり木にあがって寝るので、明かりをつける必要はないという、これまた当然のような返事に、またしばらく考えていた総書記は、こう言った。養鶏を養豚と同じやり方でしているようだが、それよりニワトリの習性をよく観察し適切な方法を研究すべきだ、農村へ行ってみると、夜は各農家でカの襲撃を防ぐため軒に電灯を吊して、庭にかやりをたき、そのまわりを家族中が車座になって繩をなったり、農具を手入れしたりしながら、楽しいひとときをすごしている、そんなときはニワトリも明るい庭で夜の更けるのも知らず熱心に餌を突っついている、トリのそのような習性を利用できるはずではないか、と。
「夜、鶏舎に明かりをつけて餌をやれば、ニワトリは日が暮れてもとまり木にあがらず、餌をあさりつづけるでしょう。そうなれば、それだけ早く肥えるではありませんか。
これはべつに手間のかかることではありません。少し関心をはらえば、いくらでもやれることです」
人びとは感嘆した。かれら専門家もそこまでは思いつかなかったのである。
その後、養鶏場では飼育場に電灯をつけて夜も餌を与えた。すると以前に比べて一羽あたり体重が〇・六~〇・八キログラムも増えた。それは養鶏場にとって大した収益だった。