朝鮮の三十八度線(109)
むすび(1)
第二次世界大戦はこの地球に発生したファシズムというペストの撲滅で幕を閉じ、人類史上いまだかつてない正義の大勝利として記録された。
ファシスト日本帝国主義の撃滅と祖国の独立のためにたたかった朝鮮の愛国者は、この勝利を喜びをもって迎えた。
しかし、世界が喜びにつつまれて祝った大戦の結果が、二千万朝鮮民族にとっては民族分裂という新しい悲劇のはじまりになり、その矛盾した現実に人びとは驚愕した。
大戦の重荷を担った反ファッショ勢力はファシズム撃滅という正義の理念をもって戦い、これを実現したが、そこには大国間の「戦利品」争奪という不正義が同伴した。
「戦利品」と「勢力拡張」。
これが四十一年間の長きにわたる植民地のくびきから解放された朝鮮民族に分断という悲劇を押しつけた動機であり、対立の要因であった。
アメリカとソ連はファシズムと戦っていたときは協力を必要としたが、戦後共通の敵がいなくなると両者を結びつけるきずなも切れた。
アメリカは朝鮮をアジア大陸進出の橋頭堡に、ソ連の南下を阻止する拠点にしようとした。
日本軍が優勢であった対日戦前半、アメリカは日本を弱め反ファッショ勢力を利用するために朝鮮の独立を支持した。
ところが勝利の見通しがつき、朝鮮を手に入れる可能性が生じると、アメリカは朝鮮の「フィリピン化」をとなえ、戦後ソ連に遮られて全朝鮮への勢力拡張が不可能になると南朝鮮で単独選挙を強行した。
ソ連は朝鮮を資本主義勢力を阻止する緩衝地帯とし、蒋介石の行動にブレーキをかけようとした。