朝鮮の三十八度線(105)
悲劇の三十八度境界線(6)
李承晩系の軍政警察部長趙炳玉は、警察武力で韓国民主党の当選を支えた。
ソウルで選挙を取材したUP通信の特派員は、米軍偵察機が空を飛び交い、投票場は野球バットを持った郷保団によって厳重に警護されていた、ソウルでは数千名の警官と特別に任命された民間人が米軍の支援のもとに要所要所と交差点にバリケードを築き、裏通りの入口はすべて警備隊によってかためられていた、民間警備隊員たちは斧の柄、野球バット、棍棒などを携帯し、南朝鮮警備隊はアメリカ製カービン銃で武装していた、戒厳令下の都市のような雰囲気であった、と報じた(『アメリカ帝国主義の朝鮮侵略史』第二巻七八ページ)。
ホッジは軍政警察部長趙炳玉と首都警察庁長張沢相を免職せよという南朝鮮各界の要求を拒んだ。
日本の学者寺尾五郎は『朝鮮問題入門』で、南朝鮮でのアメリカの暴圧について、五月十日の単独選挙にいたる過程は、朝鮮『併合』をしあげたときのかの日本の暴力行使をうわまわるような文字どおりのテロ、虐殺、拷問、放火、脅迫の連続であったと書いている(寺尾五郎『朝鮮問題入門』東京、一九六五年、三一ページ)。
最近公開された国連朝鮮臨時委員団員たちの回想によれば、かれらは当時南朝鮮各所を巡りながら、同行したアメリカ人に、この選挙は、李承晩の軍隊がすべてを演出していると思われていないとしたら上出来だが、とからかい、行く先ざきで選挙の背後に李承晩とその警察、そして韓国民主党がいることを知ったわれわれとして、国連に帰って問題をどう処理したものだろうか、と言った。