主体108(2019) 10月 21日

夏と冬

 

東海岸地区の現地指導に向かった総書記は、一九七五年七月のある日、西湖(ソホ)水産事業所の冷凍工場を訪れた。

工場幹部の案内で急速凍結室に立ち寄った総書記は、急速凍結設備を見てまわり、魚類を桟橋から凍結室に運搬する工程、凍結工程、冷凍魚ブロックを貯蔵庫に運ぶ工程などを細部にわたって見たあと、貯蔵庫の魚を見せてもらいたいと言った。

工場の幹部は、半袖シャツ姿の総書記を、零下二十度の貯蔵庫に案内するのをためらった。

総書記はほほえんで言った。

「大丈夫です。人民に四季をつうじていつも新鮮な魚を供給しようという主席の意を体して建てた工場ではありませんか。入ってみましょう。早く戸を開けなさい」

重い鉄の戸が開けられると、中から冷たい空気がさっと流れ出た。外の気温は二十五度で、貯蔵庫の中と外では四十度以上の開きがあったが、総書記は霜が白く張っている壁や天井を見まわし、ためらいなく中へ入った。随行の幹部は総書記を大変なところへ案内したと気が気でなかった。

しばらく歩いて行くと、廊下に積みあげた木箱が道を塞いでいた。一行はひそかに安堵の胸をなでおろした。行く手を阻まれたので、総書記が引き返すものと思ったのである。

ところが、それは早まった考えだった。総書記は木箱をのぞき、人民に供給する魚はどこにあるのかとたずねた。

「初夏にはいくらも残りません」

誰かの答えに総書記の顔がくもった。

「いくらも残らない」

もの思いに沈んでいた総書記は、やがて他の貯蔵庫を見ようと言い、木箱と壁の間を抜けて進んで行った。工場の幹部は途中は素通りして、魚の保管してある第七号貯蔵庫に案内しようと前に立った。

ところが総書記はつぎの貯蔵庫の前で足を止め、この中にはなにがあるのかと聞いた。野菜が保管されているという返答に総書記は、

「せっかくだから順を追って見ましょう」

と言い、先に立った。貯蔵庫には網袋に入れた春作野菜が、天井に届くほどうずたかく積まれてあった。総書記は、魚類が切れたら野菜を貯蔵するのも悪くないが、これがみな魚類であったらどんなにいいだろうと言った。

そのうちに、長袖の作業服を身につけた人たちも体がこごえてきた。みな薄着の総書記はどんなに寒いことだろうかと気をもんだが、総書記は平然とつぎの貯蔵庫に足を運んだ。

空の貯蔵庫を見た総書記は、残念そうに言った。

「冷凍工場を建設したのは、人民に四季をつうじて新鮮な魚類を供給するためです。

だから冷凍工場にはいつも魚類がいっぱい保管されていなくてはなりません」

総書記は貯蔵庫を一つひとつ見まわってから第七号貯蔵庫に入った。ほのかな灯光が高く積みあげた冷凍魚のブロックを照らしていた。

「ようやく魚に行きあえました。釜に入れたらすぐにも生き返って跳ね返りそうです」

総書記は喜んで、冷凍した魚にさわったり、目方を見積もったりした。そしてすべての貯蔵庫にこのように魚類をいっぱい保管し、年中新鮮な魚を人民に供給しなければならないと言ってその対策を述べた。

その後、西湖水産事業所では総書記の指示通り、いつも貯蔵庫をみたし、人民に新鮮な魚類を供給するようになった。

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