主体107(2018) 11月 15日

移された敷地

 

一九八〇年九月のある早朝、総書記は咸鏡南道のある責任幹部を電話で呼んだ。よほど重要な問題がもちあがったのだろうと、急いで受話器をとると、咸興から城川(ソンチョン)江上流のある地点まで距離がどれほどになるかという質問だった。不審に思いながら返答すると、総書記はその数字をなんども口ずさみ、なにか考えているようだった。やがて慎重な口調で、そこに工場を建てたら咸興市の飲料水供給に影響が及ばないだろうかとたずねた。質問の意図を知って、かれは答えた。

「そのあたりに工場を建てれば、いまは別条ないでしょうが、工場地区が拡張されるような場合は影響があると思います」

総書記は、それが気がかりで昨夜ずっと考えつづけ、こんな早朝に電話をした、平壌から関係者が到着すれば、慎重に討議し敷地をほかへ定めるようにと言った。

電話は切れたが人民を思う総書記の深い志に胸がこみあげ、かれは受話器を置くことができなかった。

当時、中央では城川江の上流地帯に工場の建設を計画していた。その地点が立地条件にもっとも恵まれていたし、またそれが国家的にきわめて緊切な建設だったので、関係者は総書記の決裁をすぐに受けられるものと期待した。ところが総書記は人民の飲料水問題への影響を恐れて熟考を重ね、さらに電話で確かめたのだった。

数日後、工場の敷地問題を検討するため、総書記の派遣した関係者たちが咸興に到着した。

道の幹部はかれらと一緒に数日間苦心して適切な地点を選択した。そして総書記の問い合わせの電話に、元の位置よりは少し劣るが、飲料水の供給に影響がなく、原料、燃料、動力の保障条件も比較的良好な地点を選んだと答えた。総書記は満足した。

「それはよかった。ご苦労さんでした」

総書記の喜ぶ様子に、かれは胸を熱くした。

「工場の敷地を定めるうえでは、原料の供給や輸送などさまざまな条件を考慮すべきですが、とりわけ大切なのは、それが人民生活にどんな影響を及ぼすかを慎重に見きわめることです。

経済的にいくら採算のとれる事業でも、人民に害をもたらすことは絶対に許すべきでありません」

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