主体107(2018) 11月 21日

開拓者(2)

 

その数日後の朝のことだった。すでに万瀑洞と上元(サンウォン)庵一帯を一巡していた総書記は、この日の登山コースを指定した。

「上元洞と万瀑洞を見ただけでは、妙香山の景観を全部見たと言えない。きょうは毘廬(ビロ)峰を見よう。妙香山の登山コースには毘廬峰登山コースをつけ加えるべきだ」

総書記は妙香山の最後の登山コースを開く決心だった。ところが、毘廬峰は妙香山きっての高峰で、それまで登山者の足がとどいていなかった。

そこへ案内するのをはばかった館長は、毘廬峰へのコースはまだ開かれていないので、登れないと進言した。

総書記は道のないところを登ってこそ登山の妙味がある、毘廬峰までの登山コースをわれわれが開拓すればよいと言った。

一行はいくつかのグループに別れ、無線電話で連絡をとりながら毘廬峰に向かった。ところがある渓谷で道に迷ってしまった。切り立つ断崖が道をさえぎり、足を踏み入れるところがなかった。道案内の館長はすっかりとまどった。

総書記は大きな声で笑った。

「いやはや、妙香山歴史博物館の館長も道に迷うとは。ではわたしが道案内を引き受けるほない。千台(チョンテ)洞の道は険しいようだから渓流伝いに登ることだ。あとにつづきなさい」

一行は総書記に従って道を引き返し、渓流に沿って登った。

丈を越す茂みを踏み分けてしばらく行くと、館長が以前目印にした岩があらわれた。とうとう総書記が道を探しあてたのである。一行は歓声をあげた。しかし道は依然として険しく、やがて生い茂ったつるの茂みに道が遮られた。道を開くまではこれ以上登れないというのがみなの意見だった。

総書記は、道がなければ道を開きながらでも兄弟(ヒョンジェ)瀑布まで登ろうと力強く言った。

「われわれは毘廬峰登山コースの開拓者なのだ。われわれが兄弟瀑布まで行ったことを知れば、あとから来る人もそこまで行くだろう。ここで引き返せば、あとから来る人たちも引き返してしまうでしょう」

その言葉にみな熱いものが胸にこみあげるのを覚えながら総書記のあとに従った。

こうして難所を登り通した一行はついに兄弟瀑布にたどりつき、毘廬峰に登頂した。

「とうとう登ったね」

総書記の言葉が一行の胸に快く響いた。

足もとに広がる絶景を見おろしていた総書記は、ここにあずまやも建て、歩道も作るようにと言った。

「これからは、われわれが開いた登山コースに従って登山者たちが妙香山を登るようにするのだ」

一行は、総書記の言葉を胸に刻みながら考えた。

(人民により美しく、りっぱな名勝を楽しませようと、一国の指導者が自らコースを開くとは)

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